なぜ、当サイトでビタミンC誘導体なのか
私がビタミンC誘導体に興味を持ったのは、99年8月のフレグランスジャーナル誌に掲載された青山皮膚科クリニックの先生のニキビにはVC誘導体が効くという論文がきっかけでした。ビタミンC誘導体化粧品に興味を持ったものの、当時は今の状況と違って高価なものばかりで、しかも華やかな化粧品のカウンターでそれらを買い求めるパワーも持ち合わせていません。そんな時、このサイトに訪問している有志が集まり、ビタミンC誘導体の研究が始まりました。多くの人が数々の効果を肌実感したものの、私自身が感じたのは皮脂分泌抑制程度で、ニキビには全く効果がなく、しかもVC誘導体は濃度が高いと刺激感を訴える方も少なくなかったので、一概に高濃度=良いとは限らないということを痛いほど実感させられました。ただ、このときの有志の方々が、VC誘導体の使いこなしについて積極的にトライしてくださったので、様々な知見を得る事ができました。以来、当サイトとVC誘導体とは切っても切れない仲となっています。
ビタミンC誘導体化粧品の選び方と注意点を載せました。ご一読いただきましたら幸いです。
ビタミンC誘導体はトゥヴェールで様々なお悩みに対応したものを販売していますのでこちらをご利用ください。
ニキビの跡ケアとVC誘導体
ニキビの中程度以上では95%以上で瘢痕(アクネクレーター)が出現するといわれるのに対して、この瘢痕について研究はほとんどありません。この瘢痕を治す為に数多くの成分が研究されましたが、その中で一定の成果を上げているのがVC誘導体です。日本皮膚学会の学術大会においても、VC誘導体ローションの瘢痕に対する効果は、98回(1999年)、99回(2000年)、100回(2001年)の学術大会でその成果が発表されています。また、日本皮膚学会誌の2000年学術大会号(学会の講演のレジュメ等が載っている)では、VC誘導体、ケミカルピーリングに関する広告は1社だけであったのに対して、2001年学術大会号では実に7社に増えています。それだけ、VC誘導体が皮膚科医達の注目を浴びているということでしょうか。なお、2011年には、多くの化粧品会社が参入しています。面白いことに10年前は皮膚科でよく使われるリン酸型タイプに批判的であった大手メーカーもリン酸型タイプで販売しているということです。リン酸型タイプは分解することもあり、処方がむずかしく一般的ではありませんでした。その安定性を保つ処方が見つかりましたので、多くの会社から販売されています。
VC誘導体の効果
VC誘導体は様々な効果があります。特に活性酸素を除去する能力は際立って優れていて、その効果によりニキビすら治癒させてしまうぐらいです。また、コラーゲンの生産能力を向上させるだけでなく、試験管内での実験からネズミを使った動物実験においても皮膚癌の制癌作用を確認されています。特にコラーゲンの生産能力向上により、今まで外科手術で治していたやけど跡のケロイド治療が、VC誘導体を塗るだけで跡形なく治ってしまうという点は患者にとって精神的な苦痛から開放されるだけでなく経済的な損失も少なくなり、大きな前進だと思います。また、皮膚癌に関する効果についても、敏感肌であるとサンスクリーン剤でかぶれてしまうので、紫外線防御をしたくてもできず、紫外線に対して無防備となりがちですが、VC誘導体を肌に塗っておけば紫外線のダメージを最小限に抑えられると考えられます。
VC誘導体の種類
VC誘導体は数々の種類が作りだされましたが、取捨選択され現在では次ぎの3種類が主に使われています。
リン酸アスコビルマグネシウム(APM)
最も歴史がある水溶性のビタミンC誘導体。その昔、背骨が湾曲したり、えらがなかったり様々な奇形の養殖魚が発生しました。当時、公害のせいだとも考えられたが、研究者の鋭意努力の結果、ビタミンC不足によりコラーゲン生成ができなくなったために奇形魚が多発したことがわかりました。
しかし、餌にビタミンCを混ぜたところで、ビタミンCは水中ですぐに活性酸素と反応して分解するため効果はでず、そのため水中では分解しにくく魚の体内で簡単にビタミンCに戻る誘導体の登場が望まれました。その要望に答えたのが、このVC誘導体で、生物がもつ脱リン酸酵素によりビタミンCのリン酸エステルからビタミンCに変換されます。
リン酸エステルというのは生物学的に非常に重要なため、人間の体内にもこの脱リン酸酵素は大量に生産されており、健康診断の血液検査においてこの酵素(アルカリ性フォスファターゼ)の量を測定することで、肝臓機能を診断しているぐらいです。ただ、単にビタミンCのサプリメントを飲んだとしても、体内に存在する細胞へ万遍なく行渡るだけで、なかなかしみや瘢痕部分等本当に必要としている細胞へいかないものです。
しかし、VC誘導体を必要とする部分の皮膚へ塗ることで、VC誘導体が皮膚内へ浸透し、そして細胞表面に存在する酵素によりビタミンCに変換され細胞に取りこまれていきます。
なお、L-アスコビルリン酸エステルマグネシウムと聞くと人工的なケミカルなイメージが強く感じられますが、実は細菌の一部が作っていたり、ニジマスも体内でこのビタミンC誘導体を合成しています。人間が苦労して作り上げたものが、生物が進化の上で獲得したものと一致していたというのは面白い事実だなと感心しています。
リン酸アスコビルナトリウム(APS)
皮膚科でよく使われるビタミンC誘導体ローションに採用されています。ニキビや美白効果があります。ただし、美白効果を表示するには厚生労働省できっちり医学データを表示して許可を受ける必要があります。高濃度ビタミンC誘導体配合化粧品の多くは、「化粧品」として販売されています。医薬部外品として認めてもらうためには多額のコストがかかるため、ドクターズコスメであっても難しいからです。
実は、ビタミンC誘導体を5%以上で配合して医薬部外品として販売しているのはトゥヴェールをはじめとして数社しかありません。ビタミンC誘導体を医薬部外品にして販売するのは、「ちゃんと効くのか」、「長期間でも安定か」などを厚生労働省に対してきっちりデータを示して、認可が必要なのですが、これがとても大変で、悪く言えば手を抜いて化粧品として販売するケースが多いのが実情です。
テトライソパルミチン酸アスコビル(テトラヘキシルデカン酸アスコビル、VCIP)
油溶性のビタミンC誘導体。経皮吸収の向上を目指してドラッグデザインされ作られました。上記のVC誘導体が短時間で皮膚に浸透するのに対して、持続的に皮膚内へ浸透していき、エステラーゼという皮膚内の酵素によりイソパルミチン酸が切断されビタミンCに変換されます。
ここでイソパルミチン酸というのは聞きなれませんが、実は皮脂にも含まれる分岐脂肪酸です。分岐脂肪酸というのは重要で、水分の蒸発を適度に行い、過剰の水分が皮膚内にたまらないように調整する働きを思っています。というわけでこれ自体は天然には存在しませんが、皮膚内の酵素によりビタミンCとイソパルミチン酸という両方ともヒトの皮膚上に存在する物質に変換されます。
アスコルビン酸グルコシド
ビタミンCに糖がくっついたタイプの誘導体でねずみの体内でも合成されています。しかし、人間の皮膚には糖をはずす酵素がほとんどないためにビタミンCに変換されにくいという欠点があります。一部の化粧品メーカーは好んで使いますが、あまり期待できない誘導体だと考えています。実際、これの開発元の大手化粧品メーカーも最新コスメにはアスコビルリン酸エステル塩の採用をはじめています。
アプレシエ(APPS)
「100倍浸透ビタミンC」として有名です。このビタミンC誘導体の問題点は、安定性が悪いこと。そのため、安定性に対する工夫が必要となります。水にも油にも溶けるという特性があって、浸透力は高いです。ただし、問題があって、医学的な美白データというのは、無くて厚生労働省では美白効果を認めていません。
試験管内でのデータは確かに他のビタミンC誘導体を圧倒しますが、臨床における実力がまだまだといった弱点もあります。(もし、実力があるのなら、厚生労働省が美白効果を認めます)
アプレシエの弱点は安定性が悪いという点ですが、それを「凍結乾燥」という医薬品製造技術を使用して克服した商品もあります。
トゥヴェールのクリスタルエッセンスがその代表例ですが、高濃度APPS配合商品では劣化が問題となるので、凍結乾燥を行うことが一般的となります。 ドクターシーラボやファンケルなどでも凍結乾燥したAPPSを販売しています。なお、凍結乾燥は製造コストが一般的なAPPSローションの3倍以上かかるため、高額商品となります。
アプレシエについてもトゥヴェールで販売しています。
トゥヴェールの特徴は一般的なアプレシエの他、純度を再結晶法で高めた高純度アプレシエも商品化しているところです。高純度アプレシエは凍結乾燥した商品にしか配合できませんので、一般的な化粧水に配合されるアプレシエと差別化が行われています。
【ご注意】
ビタミンC誘導体化粧品の商品名に「ビタミンC誘導体」を使うことを厚生労働省が禁止しています。雑貨扱いの商品と化粧品工場で作られたビタミンC誘導体化粧品の違いがここでわかります。
「ビタミンC誘導体」と名前がついているものは、都道府県の薬務課で化粧品申請を拒否しますので、それらは化粧品ではなくご注意ください。
また、雑貨扱いのビタミンC誘導体を「医薬部外品工場で製造」ということで宣伝する商品もあります。問題は、化粧品ではないのに「化粧品として販売されていること」です。
容器に「化粧品原料」と表示されていれば、それは化粧品ではありません。
薬品(製薬)会社が販売しているように見せても「薬事法」「景品表示法」に違反している可能性がありますのご注意ください。
いくら安くても「化粧品」でないと、万が一のときに業者は責任を取りません。
製造物責任法でも化粧品原料でのトラブルの場合は、法律で救済されません。
「セルフコスメ」「手作り化粧品原料」とある場合は注意が必要です。
ビタミンC誘導体VSピュアビタミンC
日本のメーカーは主にビタミンC誘導体を推奨し、海外のメーカーはビタミンCを推奨しています。ユーザーにとっては効けばどちらでも良いのですが、さてどういう違いがあるでしょうか。基本的にビタミンCは空気中でも簡単に酸化されてしまうので、内服用の錠剤は必ず空気と触れないようにコーティングがしてあります。また、肌につけると酸性であるため刺激があり、場合によっては皮膚が捲れてくる可能性があります。これを改善したのがビタミンC誘導体で空気中でも酸化されにくい構造となっています。
ただのビタミンCは経皮吸収されませんが、誘導体にすることで、水溶液であっても経皮吸収されやすくなり、特に大きな違いは細胞に圧倒的にC誘導体の方が細胞内へビタミンCを送り込みやすいということです。試験管内での実験では10倍以上も普通のビタミンCよりヒト細胞に取り込まれやすいという結果がでていて、さらにはヒト細胞を使った試験官内の培養実験では、VC誘導体は活発に細胞分裂を行わせた上で、細胞の細胞の寿命を延長させるという効果が見出されています。つまり人間にたとえると病床でじわじわ死ぬのではなく、生涯に及んで頑強で、死ぬ間際は苦しまずぽっくりいくという様に形容されています。
さらには、紫外線により皮膚細胞のDNAに障害が与えられますが、VC誘導体はこれを低減させることができるのに対し、ピュアVCではむしろ障害を促進させてしまうという研究結果もあります。(ちなみにユキノシタエキスには障害を受けたDNAの修復を行う効果が見出されています)
また、VC誘導体のすごいところは制癌作用を持っているところで、皮膚癌細胞は周囲の細胞を特殊な酵素で溶かしながら組織を侵食していきますが、ヒト皮膚癌細胞を使った実験では、VC誘導体が癌細胞の運動性を抑制したり、また細胞組織を溶かす酵素の産出を抑制する効果が見出されています。
その結果、マウスを使った実験でも癌細胞の転移を抑制しますが、ピュアVCでは試験官内でのヒト癌細胞の転移やマウスでの実験においても癌抑制効果はありませんでした。
以上のことより、同じ値段ならピュアVCよりVC誘導体を使った方が目に見えない部分での効果が多く期待できると結論づけられます。また、サンスクリーン剤に被れてしまう敏感肌の方は、何もしないよりVC誘導体でケアを行った方がよいでしょう。(VC誘導体化粧品にかぶれないことが前提です)なお、制癌効果に対する知見があるのは、現在のところVC誘導体のみです。(2001.11)
最近、アメリカ製や日本製のものでもピュアビタミンCを配合した化粧品がたくさんあり、高く販売されているものも多いです。情けないことに数十年前に出された特許をパクッたものが多く、プロピレングリコールやグリセリンなどの溶剤に溶かし込んだものがほとんどです。ピュアビタミンCは1kg1000円。プロピレングリコールやグリセリンは1kg300円。たとえば、ピュアビタミンCを30%配合した美容液30mlでも原価はピュアビタミンCとして、10円です。グリセリンは15mlだとしてもたったの5円。ピュアビタミンC30%配合した美容液が20円もあれば作られるような原価で作られています。それでいて高く売れるのでたくさんの企業が参入しています。いつまでこんな消費者をバカにしたような商売を続けるのでしょうか?
高濃度VC誘導体・・・?
2001年4月より化粧品の自由化が行われ、一部の化粧品原料を除いて化粧品への配合量の規制が撤廃されました。
その結果、今まで2%以下であったVC誘導体(アスコビルリン酸エステルマグネシウム)の配合規制がなくなり、5%や10%といった高濃度配合品が販売されるようになりました。
VC誘導体というのは刺激があるために、濃度が高ければそれだけ効果があるかというとそういうわけではありません。
むしろ、刺激のために使えなかったりします。以下はVC誘導体の研究を行った時の臨床結果で、5%程度の濃度では37%の方に何らかの刺激が見られました。肌によいVC誘導体であっても刺激はあるもので、濃度が高いからといって決してよいものだとは限りません。なお、この方々は濃度を薄める事により快適に使えたという事を確認しています。
ちなみに、ニャンCは5%の濃度であっても刺激を感じる方が少ないので、HPで紹介を行っています。 (ニャンCで刺激を感じても薄めれば問題なく使えます)
◆ビタミンCの第一回目アンケート結果 (使用期間3日~13日) |
回答者 19名 |
ニキビに効果 | かなりあり1名 | 少し7名 | 感じない8名 | 有効率50% |
肌の赤みに効果 | かなりあり2名 | 少し11名 | 感じない3名 | 有効率81% |
色素沈着の低減 | かなりあり2名 | 少し4名 | 感じない11名 | 有効率35% |
ビタミンCの刺激 | かゆみ3名 | つっぱり2名 | ちくちく2名 | 刺激性37% |