効果的なお手入れ法
和漢生薬美肌水は普通の化粧水や美容オイルと同様に洗顔後に使用するという方法でよろしいでしょう。また、市販の拭取り型化粧水のように、角層が肥厚しやすい額、小鼻、顎の部分はコットンにしみ込ませ丁寧にふき取れば、余分な角層が除去されやすいので効果的なお手入れ法と言えるでしょう。ただし、拭き取りを熱心に行うと、角層がとれすぎてバリア能力がなくなり乾燥肌になってしまいますので注意してください。風邪の時に鼻をティッシュでかみすぎると、鼻の下の角層が薄くなって刺激に弱くなり、ティッシュで触れるだけで痛くなるのと同じです。
拭取りの順番:肌が弱い方は目のまわり,こめかみを拭取ってはいけません。
また、美白には今はしみはないが予防的に美白剤をつける場合と、今あるしみをなんとかするために美白を行うという二通りがあると思いますが、後者の場合はODT法が最も効果的なお手入れ法となります。
ODT法というのは、皮膚科や特にエステで定番となっている有効成分を肌の中へ導入する方法で、通常、皮膚から物質が入っていくには角質細胞の間を通るか、毛穴の壁の皮膚を通過して入るしかありません。毛穴ルートは少量しか入りませんし、角質細胞の間を通過するにはセラミドという油性バリア成分が邪魔するので、そう簡単に化粧品の成分が入っていきません。
まあ、そう簡単に経皮吸収が起こらないからこそ、変な物質から身を守ることができ、人間は健康でいられるのですが、ODT法というのはこの2つのルート以外に第三の物質透過ルートを作る方法です。つまり、大量の水分を角層に与えて角層をふやけさせ、バリア能力を低下させることにより、水溶性、油溶性両方の物質が肌の中へ入ることができるようになります。
ただし、ODT法は肌に入って欲しい成分以外も透過するので、長くやれば自分の汗等でかぶれてしまい効果は薄くなってしまいます。(汗には皮膚をかぶれさせる成分が入っていて、これが皮膚内へ入ってしまうことによりかぶれてしまうのです。)ですから、ODTはだいたい15分~20分程度行えばいいでしょう。
ODT法にはコットン法とラップ法の二通りあります。
サランラップでするラップ法が効果が高いなのですが、これだと汗等の経皮吸収がされすぎて、かぶれる場合があります。
この場合は市販のフェイスマスクや綺麗なガーゼによるコットンによる方法となり、敏感肌や赤みがある場合は穏和なコットン法が最適です。ラップやコットンはできるだけ皮膚に密着させて、ODT前に蒸しタオルやスチーマーで角層を柔らかくさせておくと効果的で、好きな精油や伽羅などの香を焚きながらリラックスしながらODTを行って下さいな。また、回数は週に1,2回程度でよろしいでしょう。なお、目のまわりに化粧水をぬってはいけません。
また、美容部員が洗顔後、化粧水を念入りにバッティングしてから、美容液やクリームを塗るようにアドバイスすることが多いかと思いますが、これはバッティングはODT法と同様に角層のバリア機能を落として、その後つける美容液やクリームの有効成分の経皮吸収を高める方法だからです。
作成上の注意
パッチテストの推奨
各成分は可能な限りパッチテストを行ってから化粧水に配合し、異常が出たらすぐに使用を中止し、原因物質追求のため各成分毎にパッチテストを行いましょう。
各成分を一日2回くらい腕の内側に3日間ほど塗って皮膚に異常がないか確かめましょう。当然ですが、皮膚がかゆくなったり、赤くなったり、ぶつぶつができたりしたら、使用はあきらめましょう。パッチテストをすることで皮膚反応をシュミレーションでき、その時の状態から肌につけたものがどの程度の皮膚障害性をもっているかを判断できます。特にアレルギー体質の方は、手作り化粧品、市販の化粧品共にアレルゲンとなっている物質が含まれている可能性が高いので、パッチテストで皮膚の反応を見た方がいいでしょう。
手作り化粧品のいいところは各成分毎にパッチテストができることです。使っているうちに異常がおこればすぐに各成分毎にパッチテストをして原因を究明でき、そしてその原因物質を抜いたものを作ることができます。日本の薬事法では各化粧品原料毎にこのパッチテストを行って、たとえばX%以上の人の皮膚が赤くなったり、ブツブツができたり、水泡ができたりしたら、指定表示成分として容器への表示の義務があります。極論を言えばパッチテストに参加したわけでもないので、薬事法で定めた表示指定成分がどこまで自分にとって悪いかわからないし、またいわゆる指定表示成分以外に自分にとってはアレルギーを起こす可能性があるので、それを見抜く手段が各成分毎のパッチテストなのです。
こうして、パッチテストをしてひりひり感や赤みなどがでないものを厳選して、手作り化粧品を組み立てていく。なにか、おかしな反応があればすぐに使用の中止を行うといった基本的なことが大切です。
一部の化粧品メーカーや販売員は、化粧品で傷害が起こると好転現象やリバウンド等というばかなことを言い出します。薬事法では、「化粧品」とは、「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。そして作用のための副作用があってはならない」と定めています。手作り化粧品を作られる人は、各成分毎にパッチテストを行うので、ただ単に自分に合わない成分が入っているから、こういう皮膚傷害(好転現象)が起きるということが理解できると思います。
◆有用性と有効性の判断
いくら手作り化粧品で有効性が高くても市販のものより高い制作費になればあまり意味がないと思います。そして、市販のものより肌に合うかという判断が必要かと思います。そのために、機器分析で客観的に優劣を判断するの1つの方法でしょうし、自分の顔に朝晩2回ずつ右半分に、和漢生薬化粧水、左半分は市販の化粧水もしくは美肌水をつけて、1ヶ月塗布し続けて判断するという方法もあります。この方法は化粧品メーカーが商品開発においてよく行う手法で、たとえば効果があるなら、和漢生薬化粧水をつけた方が指が吸い付いたり、かさかさがなかったり、痒みやひりひり感が減少したりするかチェックを行えばいいでしょう。
◆化粧水の菌防御
最近は、無添加化粧品の氾濫で防腐剤が嫌われる傾向にありますが、防腐というのは大切なことで、化粧水を使うときに病原菌が混入して、容器内で繁殖し、毒素などがたっぷり入った毒毒化粧水にしないためにも、防腐はきっちり行いたいものです。特に病原菌が繁殖した化粧水を使用すると伝染性膿痂疹(とびひ)など、皮膚病になる恐れもあります。
化粧水を保存する容器はスプレー式など、手が化粧水の吹出し口に触れにくいいいものがいいでしょう。また、化粧水を詰める容器は、洗濯用ハイター(次亜塩素酸ソーダ)1CCを水100CCに薄めたもので消毒して下さい。ただ、20%以上のアルコールを使用してエキス剤を作る時はアルコールの殺菌作用が働くので、エキス剤をつめる容器、使う器具類は洗剤で洗うだけで結構です。そして、化粧水を保存する容器で、化粧水の配合するようにすればいいでしょう。
アルコールで抽出した生薬エキス自体は、アルコールが30%以上入っていて、冷暗所で密栓して保存すれば、半年は保存ができます。また、BGエキスも同じく半年保存できます。そして、作った化粧水は冷蔵庫で保存し早い目に使いきるという心遣いこそが、菌防御の大切な心構えです。