生薬データ集

生薬

ユキノシタ(雪の下、虎耳草)

ユキノシタユキノシタは民家の庭の湿り気の多い岩陰などに自生しています。意外に、庭を見渡せば生えているのではないでしょうか。

ユキノシタの名前の由来は雪が降り積もっても、その雪の下で元気に青々と育っていることからつけられたと言われています。茎は赤く、地上をはうように繁殖し、葉は楕円形で、上面は粗毛が密生し、厚くて緑色です。
民間薬として古くから用いられ、飲用では子供の引きつけや咳の激しいときにのませたり、皮膚外用ではできもの、はれもの、虫さされ、湿疹、あせも、切り傷そしてニキビに対して使われています。特に皮膚のタンパク分解酵素の能力を上げることが数々の皮膚疾患へ効果を発揮すると考えられています。昨今は紫外線の害が叫ばれていますが、現在のところ紫外線によって変異したDNAを元に戻す薬効は数多くの植物エキスの中でユキノシタのみにしか見つかっていません。日焼け後のケアには、ユキノシタは最適でしょう。食用としても天ぷらにして食べれば健康によいと言われています。

雪の下50%エタノール抽出液のpH:5.8、抽出液は赤褐色~褐色。

葉にフラボノイドのサキシフラギン、硝酸カリウム、塩化カリウム、タンパク分解酵素活性化成分が成分。
これは、ユキノシタを掘り出して根っこを切り落とした後、水洗いにしたものです。このあと、紫外線に当たらないように日陰で干して乾燥させた後、アルコールにつけて成分を抽出します。
抗アクネ、美白、抗しわ効果を持ちます。私事ですが、特にニキビへの効果は絶大で抗生物質より効きました。なかなか民間伝承薬もあなどれんものです(笑)


ボタンピ(牡丹皮)

ユキノシタボタンピ(牡丹皮)50%エタノール抽出液のpH:5.8

ペオノール、フィトステロール、グルタミン、タンニンが成分。観賞用に広く栽培されている牡丹の根っこの部分を使い、内服では消炎、解熱、鎮痛、浄血を薬効にもち、皮膚外用では美白、抗炎症、抗酸化が期待できます。また、他の生薬成分の薬効を増加させる効果もあるようです


クジン(苦参)

ユキノシタ50%エタノール抽出液のpH:5.9

アルカノイドのマトリン、オキシマトリン、ソフォラフラバンGが成分。

漢方では掻痒症、炎症性の皮膚疾患に外用されるクジン湯に使われます。民間療法として入浴剤としても用いられます。殺菌力が強く、水虫に対して使われる他、皮膚外用では美白、抗しわ効果があります。また、50%エタノールで抽出した後、水を加えると精油が分離するので、その精油を植物油に加え美容オイルとして用いればよろしいでしょう。ただし、クジンの成分はアルカロイドであるために他のタンニン酸を含有する成分と混同して使うことはできません。


ウワウルシ(クマコケモモ)

ウワウルシ(クマコケモモ)50%エタノール抽出液のpH:5.4

アルブチン、ハイドロキノン、エラグ酸、タンニンが成分。
漢方では尿路消毒のほか、民間薬として毛染めかぶれに使用される。アルブチンを7%以上含み、皮膚外用では美白、抗酸化効果に優れています。現代の美白剤を代表する成分が、実は漢方薬や民間療法で飲用されてきたというのは面白い事実だと思います。


ソウハクヒ(桑白皮)

ソウハクヒ(桑白皮)50%エタノール抽出液のpH:5.8

α-アミリン、β-アミリン、シトステロール、ジスチルベンが成分。
蚕のエサになるクワの根っこ。漢方では飲用で消炎、利尿、咳止め、鎮痛剤として使われ、皮膚外用では特に美白効果があるため美白化粧品に配合されることが多い。


オウゴン

オウゴン50%エタノール抽出液のpH:5.8

バイカレン、バイカリンが成分。
コガネバナともいい、鉢植えの観賞用としても栽培されます。漢方では飲用で消炎、解熱、下痢止めに用いられます。皮膚外用では抗炎症、抗アレルギー、美白効果があります。50%エタノールで抽出し、そのあと水を加えると水不溶性の成分が析出するので、それを濾過して使ってくださいな。


トウキ(当帰)

トウキ(当帰)50%エタノール抽出液のpH:5.8

ブチリデンフタライドでその他、ワレロフェノンカルボン酸エステル、ベルガプテンが成分。

漢方では飲用で浄血、沈痛、沈静、補血、婦人病に用いられます。民間では、精油に末梢血管拡張作用があることからしもやけに使われる他、入浴剤に用いられます。アトピーの入浴療法としても、皮脂分泌効果により皮膚の乾燥を改善させ、症状緩和に役立っています。皮膚外用では皮脂分泌促進、保湿効果、抗炎症、抗アレルギー、美白効果があります。アルコールに弱い方は、50%BGで抽出した後、それを自作の石鹸に配合したり入浴剤としてご使用することをお勧めします。また、無水エタノールで抽出した後、水を加えると精油が分離するので、その精油を植物油に加え美容オイルとして用いればよろしいでしょう。


シャクヤク(芍薬)

シャクヤク(芍薬)50%エタノール抽出液のpH:5.8

ペオニフロリン、オキシペオニフロリン、アルビフロリンが成分。
牡丹と同じく観賞用として広く栽培されます。漢方では飲用で刺すような痛み、発作性の痛みに対する鎮痛、鎮静の他、腹痛、月経痛、神経痛に用いられます。皮膚外用では皮脂分泌抑制、保湿効果があります。


ローズマリー

ローズマリーローズマリーはアロマセラピーでよく使われますが、アルコール抽出で溶出する最も注目すべき成分がウルソール酸です。ウルソール酸は融点(固体から液体に変わる温度)289℃と非常に高く、水蒸気蒸留では流出せず、アルコールで浸すことにより抽出することができます。そしてウルソール酸はビタミンA酸なみの出来たしわを改善する能力にたけて、ビタミンAに比べて高額であるため、国内外の高額しわとり化粧品のみに配合されています。なお、FAQにローズマリー軟膏の製作法をUPしていますので、参考にして下さい。

  ユキノシタ クジン シャクヤク ボタンピ ウワウルシ ソウハクヒ
保湿          
美白 1 MSH系 1 1 2 1
抗しわ  
コラーゲン
産出増加
         
抗炎症    
抗アレルギー      
毛細血管拡張        
皮脂分泌促進            
皮脂分泌減退          
抗男性ホルモン        
育毛        
アルカロイド          
タンニン酸、
もしくは酸を含有
   
民間療法の実績 ニキビ
かぶれ
水虫
腫れ物
    かぶれ  
皮膚用医薬品
としての実績
        抗炎症剤  
特記事項         ステロイドを
100倍に高める効果がある
  オウゴン トウキ カンゾウ カモミール ローズマリー セージ
保湿    
美白 1 1 1 1 1 1
抗しわ        
コラーゲン
産出増加
         
抗炎症
抗アレルギー  
毛細血管拡張        
皮脂分泌促進          
皮脂分泌減退            
抗男性ホルモン      
育毛    
アルカロイド            
タンニン酸、
もしくは酸を含有
     
民間療法の実績       かぶれ    
皮膚用医薬品
としての実績
抗炎症剤   抗炎症剤 抗炎症剤 抗炎症剤  
特記事項       西欧の民間治療薬として有名。
ローマンカモミールを使う
抗酸化力が非常に強く抽出エキスが食品添加物としても利用されている 接触皮膚炎を強く抑える

【保湿】
保湿は、グリセリンと同等もしくはそれに近い保湿力をもつものです。ただし、生薬系保湿剤は生薬の配合量を増やしても、尿素やグリセリンのように保湿力が増加するわけでないのでいくつかの種類類の保湿剤を併用した方がよいでしょう。保湿に関しては生薬よりベタインの使用をお勧めします(2001.11追記)

【美白】
美白は使用していると肌が明るくなったり、しみが消えたりという美白効果を発揮するものです。1種類の作用機序を持つものを1、2種類の作用機序をもつものを2にしています。また、近年発見された特殊な美白機構をもつもので、MSH(MSHホルモン阻害)系としています。美白効果がいまいちのときは違う機構のものを使えばよいでしょう。

【抗しわ】
抗しわはしわ予防やできしたしわを治す作用をもつものです。

【コラーゲン合成促進】
コラーゲン合成促進は試験管内でヒト細胞にビタミンCと同等、もしくはそれ以上のコラーゲン合成を促すものです。ニキビ跡の凹み部分をコラーゲン合成促進により治すことが期待できるかもしれません。

【抗炎症】
抗炎症はかぶれや赤み、ぶつぶつを治すことが期待できる作用です。

【抗アレルギー】
抗アレルギーは接触皮膚炎を起こしにくくする作用です。つまり、アレルギー反応を起こす成分(パラベン等が代表例)が入っていても、かぶれにくくなったりかぶれてもすぐになおるようになります。

【毛細血管拡張】
毛細血管拡張は血流を増加させることで、皮膚温度を高めたり、肌の細胞にたまった老廃物の排出促進に役立ちます。主に冬期に重宝する作用でしょう。×は逆に毛細血管を引き締め、肌のほてり感改善、赤み改善を行います。

【皮脂分泌促進】
皮脂分泌促進は、皮脂の合成を盛んにすることにより保湿が期待できます。

【皮脂分泌減退】
皮脂分泌減退は、皮脂の合成を抑えることにより、オイリー肌の改善に期待することができます。

【抗男性ホルモン】
抗男性ホルモンは皮脂の合成を抑えたり、抜け毛予防を期待できる作用です。

【抗アクネ】
抗アクネはニキビ改善に期待できる作用です。

【育毛】
育毛は育毛効果がたかいものです。50%エタノールで抽出して薄めずに使わればよろしいでしょう。

【アルカロイドとタンニン酸】
アルカロイドとタンニン酸はアルカロイドを含むものとタンニン酸を含むものを混ぜ合わせると、お互いの有効成分がくっついて沈殿を起こしたりするので、混ぜないよう注意して下さい。

【民間薬としての実績】
民間薬としての実績は、日本で古来から行われてきたニキビの伝統療法に使われてきたものです。

【皮膚外用剤】
皮膚外用剤としての実績は、皮膚に塗る医薬品として認められているものです。ここでいう医薬品というのは、効力が確かというのもありますが、例えば10人中7人や8人等多くの方がその効果を実感できるものだと考えて下さい。
基本的に生薬は1つの化粧水に多くても4種類くらいまでに制限しておいた方が無難です。

各種特許や文献から抜き出しました。効能効果は医薬品でもないので、必ずあるというわけではありません。

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