HOW TO 講座

残留農薬ポジティブ制と中国の報復

日本製のSK-Ⅱが重金属に汚染されていると中国当局が発表してから、中国では大変な騒ぎとなっています。

日本では医薬部外品において使用する原料に関する重金属の規格値があります。
どんな原料を使っても20ppm以下となります。

医薬部外品には台所洗剤にも重金属の規格値が設定されていて、その規格を守れないといけません。

日本での化粧品による重金属騒ぎというのは、数十年前に起こりました。
ただ、原料を選別すればすぐ済む話なので、すぐに沈静化しました。

今回不可解なのは、どのくらいの重金属が含まれていたかということが、中国当局から一切発表なく、ただ基準をオーバーしていたと言うだけです。

今回問題となったクロムはステンレス鋼に使われるもので、われわれの身近にあるものです。
クロムといってもいろんな化合物があるのですが、6価クロムになると強力な発がん性があります。ただ、6価クロムになるためには、よっぽど強力な酸化剤でクロムを処理するか、高温で燃やしたりするしか6価クロムは生成することはありません。
3価クロムなどになると女性が大好きなアイテムによく使われていますが、こちらの毒性は弱くなっています。
3価クロムが6価クロムになったときに大きな問題が発生します。

また、重金属は土壌に普遍的に含まれていますので、農作物には多かれ少なかれ入っているものです。

今回、SK-Ⅱが標的にされたのは、日本の残留農薬ポジティブ制により、中国の農産物の輸入が減ったため、報復したというのが、一般的な見方です。
そうでなければ、どのくらいの量が検出されたとか、必要な情報がすぐにちゃんと発表されていることでしょう。

残留農薬ポジティブ制というのは、農薬に関する新しい規制です。
今までの農薬規制というのは、政府が基準を決めた農薬のみ規制していました。
世界で流通している農薬は700種類あるのに、基準があるのはその1/3だけでした。

基準がある農薬の場合は、農作物に一定以上の残留があれば、税関で止められ輸入できませんし、日本で作った野菜でも流通できません。

しかし、基準がない2/3の農薬の場合は、どんなに危ない量が残っていても、法律上、流通を止めることは出来ませんでした。

日本の残留農薬基準は厳しく設定されていますが、それを掻い潜るのは今までとても簡単で、基準が設定されていない農薬を使えば、それで済むというものでした。

近年日本国内でもとうとう規制されていない農薬を使って、農産物を作るという悪い人間が各地に現れ、ようやく行政がそれは問題だと気づいてすべての農薬に規制をかけるようになりました。
(法律を作った時点で、抜け道を行政が用意していたんだから、最初からちゃんと作ればよかったんですが) 困ったのは中国で、残留農薬の基準が厳しくなったおかげで、たとえば隣の場で撒いている農薬が日本向けの野菜などに風で飛んでかかると、基準をオーバーして輸出できないという例も起こりました。

何も野菜だけでなく、肉にも農薬が残る場合もありますから、肉の輸出にも支障がでているようです。

まあ、それで頭にきた中国人が、日本を懲らしめてやろうとSK-Ⅱを槍玉にあげたという説が一般的な見方です。

ただ、実際には、中国に日本や台湾、韓国の資本が入って次々と農薬の量が少ない野菜などを作っていますから、いずれは中国も日本の規制に対応した野菜を作るのが当たり前になってくるでしょうね。