界面活性剤の安全性について 石鹸編
● 脂肪酸石けんについての安全性データ
1. 急性経口毒性
(これは12人がいっせいに食べたときに6人が即死するときの体重1kgあたりの量です。)
LD50が3500mg/Kgとすると、体重50Kgの人なら175g食べれば死ぬ可能性があります。
ラット LD50 3500mg/kg以上(石けん) H. F. Smyth, et al:J. Ind. Hyg. Toxicol., 23, 478~483 ('41)
10000mg/kg以上(ミリスチン酸ナトリウム) Potokar M. S.: Anionic Surfactant, Marcel Dekker, 90~123 ('80)
10000mg/kg以上(パルミチン酸ナトリウム)
2. 眼一次刺激性(これは目にいれたときの刺激性です)
ウサギ 5%液0.1ml点眼,1hr後角膜斑点を生じたが24hr以内に回復
サル 5%液0.1ml点眼,6例中3例に角膜面積の1/3表皮損失、24hr後軽度~中等度結膜炎発生(48hr後回復),3日目でも微細な角膜斑点が残った。
ヒト 5%液0.1ml点眼,点眼と塗布時に流涙と刺激があり,7例中6例に結膜充血を見,6hr持続した。
Beckley J. H., Russell, T. J., Rubin L. F.: Toxicol. Appl. Pharmacol., 15, 1~9 ('69)
3. 皮膚一次刺激性(皮膚に塗ったときの刺激性です)
1%液を循環法にて皮膚に接触させ,10分/日,4日間,24hr後に観察。
種々のアルキル鎖長の石けんによる皮膚あれと炎症を観察。
C8,C10,C12,C14の石けんで,相対的なあれはC12>C14>C10>C8の順に強い。炎症はC12のみに認められた。
Imokawa G., Takeuchi T.: CAOSMET. Toiletries, 91, (8) 32~34, 36, 38, 40, 45~46 ('76)
ラット オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリの原液処理、マイルドな皮膚刺激。
Kastner W.; Anionic Surfactant, Marcel Dekker, 240~241 ('80)
4. 変異原性(遺伝子に傷をつける毒性です)
B.subtilis H17,M45 変異原性を認めず。(石けん)
小田美光ら;大阪府立公衆衛生研究報告,食品衛生編(8)11~16('77)
5. 発がん性
マウス ヤシ油K石けんにてテスト。0.03ml×2回/週,1年間投与で腫瘍発生なし。
山本博昭;奈良医会誌,28,307~327('77)
6. 水生生物毒性(水の生物に対する毒性です。数値が高いほど生物に影響を与えません)
和金 マルセル石けん:TLM≒100ppm
都丸勇ら;加工技術,7,(5)346('72)
ヤナギバエ ステアリン酸Na塩:TLM 100mg/L
Hendersol C., et al., Sewage ind. Wastes, 31,295~306 ('79)
ヒメダカ 石けん:TLM 11mg/L
富山新一:日水産誌,40,1291('74)