HOW TO 講座

コエンザイムQ10について

コエンザイムQ10がテレビ放送されてから大ブームとなり、健康食品から化粧品に至るまで、アンチエイジングの代名詞となっています。

コエンザイムQ10自体は油に溶ける成分で、抗酸化作用が代表的な作用となります。
化粧品ではしわに効くということを匂わせていますが、化粧品への配合量が0.03%以下に規制されているので微妙かなと思っています。

コエンザイムQ10の化粧品への応用では、ドイツのバイアスドルフ社が有名なのですが、それより前に資生堂が行っていて、2000年の化粧品自由化以後も資生堂の特許が防波堤となって、日本で売られることはありませんでした。

いまの化粧品におけるコエンザイムブームは資生堂の特許の効力がなくなったから起こったもので、もしこの特許の切れていなかったら、未だにコエンザイム化粧品が販売されることはなかったでしょう。

ただ、コエンザイムQ10というのは医薬品(強心薬)の成分なので、化粧品に使うことができませんでした。

そのため、一時期コエンザイムQ10の化粧品が市場に出回ったのに突然販売中止になったのは、一部の企業の勇み足を厚生労働省が咎めたからです。

そして資生堂や花王といった大企業が安全性データや皮膚に塗っても、医薬品の効果はでませんよ、といったデータを厚生労働省に提出して認められたので、化粧品に0.03%以下で使えるようになりました。

ちなみ0.03%というのは、えらく少ない量ですが、医薬品として摂取する量が1日30mgなので、仕方ない量なのでしょうね。
コエンザイムの健康食品などは少しでも高く売りたいために1日100mgの摂取を推奨するところもありますが、病気の人でも1日30mgで十分なのに、健康な人がそれ以上飲んでも果たして効果があるのか疑問ではあります・・。

さて、資生堂はずいぶん昔にコエンザイムに注目しましたが、医薬品の成分でもあり商品化を一旦見送りました。

ただ、海外でコエンザイムに注目する企業があって、化粧品として登場したのはドイツが最初でした。

Beiers dorf社が1998年に商品化を行い同社の高級ブランドである La Prairie(ラプレリー)に採用しました。

このころヨーロッパではレチノール(ビタミンA)化粧品が旋風を巻き起こしていました。
エスティローダーや名だたる化粧品会社のスキンケア部門で売り上げNo1は、レチノールを配合した化粧品で、莫大な収益を企業にもたらしていました。
(しわ改善という目的のため高価格で売れるため)

結局、肌に効く成分というのは、生体関連成分が多いので、Beiers dorfもいろいろビタミン関連成分で模索していたところ、コエンザイムQ10という成分を見つけたのです。

コエンザイムQ10は1957年に発見されて、1980年代になるまで注目もされなかった成分ですが、Beiers dorfはレチノール化粧品に対抗するためコエンザイムQ10で勝負を挑むことにしたのです。

当時の売り文句としては、皮膚の細胞を再生して機能を活性化する成分と位置付けています。
さらにコエンザイムQ10の働きを強化する成分として、ビタミンEとビタミンC (商品にはリン酸型ビタミンC誘導体を配合)を挙げてこれらが協調して、しわ改善効果に働くとして、しわ対策化粧品として発売したのでした。

ただ、新しい発見をしたよというだけでは市場で埋没する恐れがあるということで、30日間でお客さんが効果に満足しない場合は返金するという保証をつけました。

そうすると瞬く間にラプレリーは、ドイツでのスキンケア化粧品売上げNo1に登りつめました。

返金保証なんてすごいなーと、いかにも効きそうな感じですが(笑)、日本でもたまにあり、なかな効果的な宣伝方法の1つです。
成分がどうのというより統計学的な要素を化粧品に組み込んでいて、製品価格が高く相当原価が低くないとできない商法です。

リピートする人ほど、返品する人の分の代金を負担することになるので、企業を支えるリピーターの方ほど損をします。

Beiers dorfは、ラプレリーでの成功に自信をつけて下位ブランドのNIVEAでコエンザイム化粧品を展開していきました。
アメリカでは派手に宣伝していたようです。
NIVEAというと花王のイメージが強いですが、日本では花王とBeiers dorfの合弁会社がニベア花王として展開しています。

さて、ここまでは4,5年前の話です。
現在のヨーロッパでのアンチエイジング化粧品の成分は、グリコール酸や乳酸などのαーヒドロキシ酸の発展形であるポリヒドロキシ酸やレチノールフリーをうたったペプチド系成分(コラーゲンを加水分解したものではなくて、コラーゲンの合成を命令する合成ペプチド)やボトックス様合成ペプチドなどがいろいろ出ています。

合成ペプチド系は海外の大手製薬メーカーが資金を投下して開発しているので、日本より進んでいます。おそらく日本でも薬用化粧品でしわに対する効果が認められるようになったら、日本の企業も開発に資金を投下するのでしょうが、美白剤に開発費用をかけているので、美白剤については日本が進んでいます。

特にグリコが開発したαアルブチンは、ハイドロキノン代替品として海外の美白化粧品にも数多く採用されています。