HOW TO 講座

必殺のイオン導入について

イオン導入とは、電気的な力により、ビタミンC誘導体などの成分を肌の中に入れる方法です。

イオン導入自体は10年以上前からエステサロンなどでは実施してました。
ただ、残念なことにあまりたいした技術もなく研究もされてなかったため効果を実感することは少なく、曖昧な美容法でした。

しかし、ここ最近、広島県立大や防衛大学、徳島大がそれぞれ企業との共同研究でどのくらいのビタミンCが肌に入るかということをきちんと研究しはじめ、その結果として家庭用のイオン導入機が登場しました。

なお、イオン導入はあくまでイオン化する成分のみを選択的に導入するため大部分の化粧品の有効成分はイオン導入できません。

また、イオン化しても肌の細胞と細胞の隙間より大きな成分、たとえばヒアルロン酸などは、肌の中に入ることはありません。

あくまで、イオン化してなおかつ分子が小さいもののみとなります。
また、植物成分の中では、ほとんどイオン化しないものもありますので、たとえば大豆エキスのイソフラボンなどはイオン導入の効果は期待できません。

導入機も安いものから高いものまで色々ありますが、たとえば数万円程度のものより数十万円のものの方が10倍よく入るということはありません。

薬剤学的には、イオン導入の効率というのは、ビタミンC誘導体の濃度が高ければ、皮膚が薄ければ薄いほど、電流が多いほど入るような導入効率の計算式があるのですが、実際はビタミンC誘導体の濃度が10%を越えるとかなり刺激があったり導入効果が落ちるという実験結果もありますので、濃度が高いほどよいというわけではないようです。

電流についても敏感肌の方が増えて、家庭用の導入機でも刺激を感じられる方が多くなっています。つまり、家庭用の導入機で安全に使える電流の限界近くまできていますので、電流は増やすことは考えなくてもよいでしょう。

家庭でイオン導入を行う場合は、通常5%の溶液をシートマスクに含ませて行います。プロがやる場合は色素沈着が多いところや毛穴が目立つところには部分用の小さなシートに10%を含ませて顔にのせ、その上から5%のシートで顔を覆うようなやり方を行うところもあります。
顔の部分によって濃度を変えてイオン導入を行うというのは、家庭でやるのとはちょっと違うというイメージを与えるようです。

ただし、濃度が10%を超える場合はイオン導入後洗顔しないと、顔がひりついて大変なので注意が必要です。

また、皮膚科でのイオン導入というのは、導入直前にビタミンC誘導体の粉を溶かしてするというのが主流になりつつあります。

これは患者の肌状態を観察してから濃度を決めたり、顔の部分で濃度を変えたりしてイオン導入するので、ある意味仕方ない流れなのかもしれません。

さらに皮膚科で販売する化粧品で圧倒的なシェアを持つノブ社がAP100SPのようなビタミンC粉末の小分け品(商品名:VCPNaパウダー)を大手化粧品メーカー系列とは思えない安価で販売しているのも理由の1つです。

20年もビタミンC誘導体を使った化粧品を開発してきた大手メーカーが皮膚科医には導入用としてビタミンC誘導体100%の商品を販売するわけです。
(残念ながらこの商品は一般の人は購入不可で、高いローションのみ購入可)

ただ、これはあくまで導入時の電極がマイナスの場合のみで、プラスの電極で導入する場合は、プラスの導入に対応したローションを使うしかありません。

なお、イオン導入の効率を上げるのには必殺のテクニックというのがあって、冒険的な皮膚の先生の中には施術をされておれる方もあります。

それは何かというと、イオン導入というのは、皮膚のバリア能力によって非常に効果が左右されるのがわかっています。

そのため、そのバリア能力を一時的に奪うことで、成分の浸透を早めるわけです。
たとえばシートパックというのもバリア能力を一時的に弱める手法なのですが、シートをはずしてしばらくするとバリア能力は元に戻ります。

しかしながらそんな生ぬるい方法ではなくて、必殺の方法とは、アセトン水という特殊な有機溶剤を使って、皮膚のセラミドや脂質を取り去り、バリア能力をほとんどなくして、その後イオン導入を行います。
こちらの方法だと、皮膚に有効成分の浸透を邪魔するバリアがなくなるので、普通にイオン導入するよりも何倍もの効果が現れます。

ただ、バリア能力がないので、無添加のVC誘導体を使う必要があることや何よりイオン導入後にセラミドを配合したクリームをたっぷり使って保湿を行わないと、肌がひりひりして痛くてたまらないというような状態になります。

家庭でアセトン水のようなことはできませんが、できることはイオン導入前に念入りに洗顔することでしょうか。